2015年12月31日

もどかしい世界の上で

ゲスの極み漢。 3回生の辻岡です。 日本破壊協会(NHK)
年末には山に登る習慣が我が家にはあるので、淡路が峠に登ってきました。
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陽の射すところ
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てのひらをたいように
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街全体を展望
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結晶 もう少しずらして撮るべきでしたか
今年も残すところあと2時間と50分ですが、たくさんの方々にお世話になった1年でした。来年もよろしくお願いします。それではよいお年を。
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2015年12月24日

山熊座

「山熊座」
天文部は今年、天体観測を理由に深夜まで屋上で残留することが許された。
そんなクリスマスイブの深夜の屋上で、先輩が不意につぶやいた。
「山熊?なんですかそれは?」
この天文部は弱小で、在籍部員は二人しかいない。静かな屋上で、僕はそう聞き返した。
「ある地域でだけ観測される星座の名前だよ。」
先輩は淡々と答える。
「十二星座にはありませんよね。」
「うん。
先輩はそれだけ言って黙った。由来を聞いて欲しいんだうと察した僕は、先輩に聞いた。
「長くなるけど、いい?」
「いいですよ。夜は長いですから。」
先輩はゆっくりと、山熊座の由来、というより来歴を語り始めた。
「昔々、ある村は農業で成り立っていた。その集落の北には山がそびえたっていて、そこは聖なる領域として立ち入りが禁止されていた。
何十年と平安に暮らすことができていたが、ある年から急に冷害で作物の収穫が悪くなった。数年はたくわえで何とかなったが、やがてたくわえにも限界が見え始めた。困った村人はその村の神主に相談に行った。神主はしばし逡巡した後、倉庫から古い本を取り出してきた。その本には、山で採れる食材が絵付きで記されていたが、なぜか後半が破れて失われていた。神主は言った。どうしても困ったらこの本を頼りに山へ食材を取りに行け。ただし自分たちの必要以上にとってはならない。もともとあの山は神聖な場所なのだから、と。すでに限界であった村人は、屈強な若者を山に送り、食料を取ってきてもらうことを決定した。神罰への恐れから神主の取り仕切りであらかじめ儀式が行われ、その後村の若者は村に入っていった。数日後、若者たちはうさぎやイノシシなどの肉、キノコ、山菜類などたくさんの食材を持ち返ってきた。それでその年は乗り切ることができた。村人たちは神と山に感謝した。翌年も凶作であったが、同じように儀式の後山へ行くと食材を持ち帰ることができ、その年も乗り切ることができた。その次の年、ついに凶作の難は過ぎ、コメも農作物もたくさんとれて、たくわえもできるほどだった。しかし、村人たちは山へ行こうとした。」
「なぜでしょうか」
一呼吸はさむように、僕は聞いた。
「肉の味が忘れられなくなったからだ。神主は当然反対したが、村人は強硬にお願いして儀式をとりおこなわせ、若者を山に送った。しかし、若者は何日たっても帰ってこなかった。数週間後、若者たちは山の入り口で無残な姿で発見された。」
「村人は神主を責めた。神罰を避ける儀式の効果はなかったのかと。神主は、だから最初から反対しただろうと取り合わなかった。村人と神主の対立は残ったが、その年は食糧難はなく無事過ごせた。」
「・・・・・・」
僕が黙っていると、先輩が続けた。
「だがあくる年の年明け、神主が突然倒れ、そのままなくなってしまった。村人たちは互いを詮索したが、誰かが手をかけたわけではなさそうだった。神主は高齢であったので、寿命だったのだという意見が多数を占めたが、神罰ではないかと言う意見も出た。しかしその意見は無視された。そしてその年からまた、凶作が始まった。この年の凶作は前年のたくわえで乗り切れそうな程度だったので、前年度の悲劇もあり山行きは見送られた。そして次の年、またも凶作に見舞われた。山に行かなければ冬を越せないほどの凶作だった。村人は儀式を行い山へ行こうとしたが、神主に後継ぎがなかったため儀式はできなかった。仕方なく、儀式をせずに、屈強な者たちに山へ行ってもらうことにした。」
「また悲劇が」繰り返されるのではないでしょうか」
僕が口をはさむと、先輩は少し笑って、首を振った。
「山へ行った者たちは食料を持って帰ってくることができた。しかし、そこで妙な体験をしたと村人に語ったんだ」
「どんな体験ですか」
「山へ入った者たちは、山菜やキノコ採り、狩りを行っていたが、途中、熊に遭遇し、追い詰められてしまった。もはやこれまでと覚悟したその時、熊が語り始めたんだ。」
「へ?」
「村人は凶作の時のみ儀式を行い我々と交信してから山へ入る約束だったではないか。豊作の時山に入るようなことはしないと約束したではないか。だからあの時は報復を行った。今年はどうやら凶作の様だが、契約違反に変わりはない。事情を話してもらおう、と。熊を前にしておびえながらも、一人が、そんなことは聞いたことがない。神主は去年死んでしまったから儀式ができなかったのだとこわごわ説明した。熊はまた語りだした。お前たちの何代も前の祖先がそう契約したのだ。ここは山の民が住む土地であり、みだりに村人が入ることは許されない。契約を忘れたというなら、お前たちに報復を行う、と。一人はそれに答えて、神主をまた立てて次からは儀式を行います。報復だけはやめてくださいと震えながら答えた。熊はしばし沈黙したのち、「いいだろう。神主が死に後継ぎがなかったというなら、お前たちに報復をすることはやめてやろう。ただし、お前たちが村に帰ったのちに、今日あった出来事を他の村人に伝え、次神主となるものを一度この山に一人で送り込ませろ。そして山の中で、私が神主であると叫ばせろ、そうすれば彼を神主として認め、契約が更新された証としよう。そういい終わると、熊は黙って去っていった。この話を聞いた村人たちは、先代神主と血筋の近いものを次期神主として選び出し山へ送り、この契約の話を忘れないように、夜空の星々に山熊座と名前を付けたそうだ。」
僕は少し考えた後、言った。
「山の危険を伝えるためにできた神話、のようなものでしょうか?」
先輩は答えた。
「私に言われても分からないよ。ただ、都会ではなかなか星を見るのも大変だ。元村人が熊と結んだ契約を忘れてしまってはいないだろうかとは思うよ。」
僕は少し黙った後、先輩に尋ねた。
「で、今なんでこんな話を?」
先輩は長い髪をかき揚げ、月に映えるきれいな横顔をのぞかせながら、
「なんでだろうね。でも、廃部寸前の天文部に、少しでもいい話を残しておきたかった、というのはあるかな」
そのあとは、僕も先輩もしばらく黙ったまま天体観測を続けた。
空にはまだ、いくつも星がまたたいている。



ながながとお付き合いいただきありがとうございました。四回生の西塔です。某作品にインスピレーションを受けて即興で作った妄想小説的な何かです。感想、下手なもの見せるな、文句などは私個人あてにお願いします。やはり文責のために実名がないとね。
もっとかわいい女の子といちゃいちゃする妄想小説が作りたくても無理でした。それでは皆様、よいクリスマスをお迎えください。
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2015年12月23日

ソラノワグマ

夕暮れの教室で先輩はそう呟いた。

何ですか、その生き物?

「生き物じゃないよ。星座。よく晴れた日の冬の夜にしか見られないの。」

 へー、天文部の先輩らしいですね。そんなマイナーな星座を知っているなんて。

「そのクマはね、もともと北の冬山で峠を越えていく旅人を襲っていたんだ。数えきれない人が犠牲になったその現状を神様は見ていられなかっただろうね。怒ってクマに天罰を下そうとしたんだ。」

 クマはどうなったんですか?

「その山の民が神様にお願いしたんだ。『どうか、私達の拠り所を奪わないでください』って。多分、侵略してくる外の人間も含めてクマが追い払っていたのだと思う。」

 旅人は犠牲になっているのに?

「よく言うじゃない、『一人殺したら犯罪者、千人虐殺したら英雄、万人葬ったら神様』。私この言葉大嫌いだけど、真理に近いと思う。」

 真理、ですか。

「神格化されたクマは天寿を全うして、やっぱり山の民が神様にお願いして、それで星座になったの。」

 クマに襲われた人たちはやりきれないでしょうね。なんたって自分たちを殺した悪魔が神になって、そのうえ蒼穹で光り輝いているんですから。

「だから神様は天罰の代わりに、星座になるクマにこう言ったんだ。『生前人を襲った報いとして、天国へ行く人を導きなさい』。クマは言うとおりにして、自分が山中で葬った人も含めて天国へ導いたんだ。」

 それで先輩はいつもあの方角の星を見ているんですね。

開けっ放しにした窓から北風がとおり抜ける。風向きの方へ長髪がゆっくりと揺れる。それがなんだかとても麗しくて僕はもう一度、この一生でもう一度だけ恋に落ちそうになった。


「今年も私の世界からいっぱいの人がいなくなっちゃった。君も相当堪えたんじゃないのかな……

……そうですね。 年の始めに歌手が、真ん中に俳優が、そして年の終わりに声優が、僕の世界からいなくなりました。

君の世界と私の世界はとても似ているから。」

寂しそうにそう笑った先輩は僕の前から今にも消えてしまいそうなほど儚かった。今目を離したら、忽然といなくなってしまうのではないか、煙のように消えてもう僕の前に現れないかもしれない。

 きっと、たぶん、ソラノワグマが導いてくれていますよ

ぎゅっと抱きしめる。僕よりも数cm高いカラダに手を回すと、それはもう抱きしめているというよりも抱きしめられているというかんじがして、なんだか気恥ずかしくなった。体が熱くなっているのはこの状況のせいではなく、さっきの月並みのセリフのせいなのだと言い聞かせて体を離そうとしたとき、先輩が僕の後頭部をそっと包み込むように抱擁してくれた。

 あ、あの

ゆっくりと首を横に振られる。この空間では沈黙こそが真理なのだと知る。先輩の心の形が分かった気になって、声も出さずに泣きながら僕と先輩は抱き合った。風になびく黒髪がいつまでも、いつまでも揺れていた。





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3回生の辻岡です。これはフィクションです。実在の人物や団体とは一切関係ありません。  ではでは



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